建設業許可取得のための重要な2つのポイント

建設業許可を取得するためには、役所が要求する様々な条件を満たす必要がありますが、その中でも重要なことが、下記の2つの事項と言えると思います。

 

建設業許可の取得についてのお問い合わせがよくありますが、建設業許可を取れないという方は、この2つのうちの、どれかの条件が合わないために、許可を取れないということが多いです。

  • 1.経営業務の管理責任者がいること
  • 2.専任技術者がいること

この2つの条件が、建設業許可の取得に関して最も重要なポイントです。こちらのページでは、専任技術者についてご説明します。

 

2、専任技術者がいること

「専任技術者」というのは、「資格」や「経験」のどちらか、または両方がある技術者のことを言います。

 

専任技術者になるための資格

まずは資格について説明します。

 

どのような資格が必要なのかは、業種によって決まっています。
下記のページで、専任技術者になれる資格の一覧を見られます。北海道の石狩振興局のページです。
http://www.ishikari.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ksd/gijyutusya3004.pdf
該当する資格を持っている方がいたら、話は早いです。免許や資格証明書、合格証などがあれば、それ一枚で証明になりますので、とっても簡単です。
これが、資格だけで専任技術者になれる方です。

 

専任技術者になるための経験

経験について説明します。

 

資格によっては、その資格だけではなくて、実務経験が必要なものもあります。上記のURLの、資格一覧のページの中で、資格の右側の【 】内に記載されている年数が、必要な経験年数です。
例えば、コード56番の第2種電気工事士を見てください。【3年】と記載されています。
年数が記載されている場合は、「実務経験証明書」という書類が必要になります。この書類があるのと無いのとでは、申請の手間が変わってきます。実務経験証明書があると、かなり手間が増えます。

 

経験を証明するための書類

実務経験証明書には、○年○月に○○工事をしたとうことを書いていくのですが、その工事をしたということを証明するために、契約書・請求書・注文書と、それに対する入金確認のための通帳が必要になります。このため、手間が増えるということになるのです。

 

経営業務の管理責任者のときの経験を証明するための確認書類と同じです。ただ、確認書類は同じなのですが、書類の量は多くなります。

 

確認書類が多くなる理由

確認書類が多くなる理由は、経営業務の管理責任者の証明では、3ヶ月ごとの証明で良かったんです。例えば平成20年1月の証明ができれば、次は平成20年4月の証明ができれば、その間の2月3月も、期間として見てくれます。ですので、請求書や通帳も、3ヶ月ごとにあればいいです。

 

しかし、専任技術者の実務経験証明書では、毎月のものが必要です。例えば1年間の証明をするとなると、12ヶ月なので12枚の請求書と、それに対する入金を通帳で確認します。
同じ1年間の証明でも、経営業務の管理責任者の証明よりも、専任技術者の証明のほうが、書類が3倍に増えるということです。

 

実務経験だけでも専任技術者になれます(一部を除く)

上記では、資格を持っている方についての説明をしましたが、該当する資格を持っていない方でも、10年間の実務経験があれば、専任技術者になることができます。ただし、一部の業種によっては、実務経験だけでは専任技術者になれないものもあります。これについては後でご説明します。

 

さて、実務経験の10年間を証明するので、請求書は120枚以上必要になります。かなりの量ですし、10年前の書類を用意しなければならないので、これを用意するのが難しい方も結構いらっしゃいます。

 

この、実務経験の期間を短縮できることもあります。それは、高校や大学で、指定された学科を卒業した方です。

 

実務経験の期間を短縮できる指定学科

高校や大学の指定学科を卒業した方は、実務経験の期間を短縮することができます。

 

まず高校ですが、高校で指定された学科を卒業していれば、実務経験は5年で済みます。5年の短縮ということになりますね。

 

そして、大学、短大、高専の指定された学科を卒業していれば、実務経験は3年で済みます。7年の短縮ですね。

 

業種によって、指定されている学科がありますので、下記の表をご確認ください。

許可を受けようとする建設業 指定学科
土木工事業 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下同じ。)都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
建築工事業 建築学又は都市工学に関する学科
大工工事業 建築学又は都市工学に関する学科
左官工事業 土木工学又は建築学に関する学科
とび・土工工事業 土木工学又は建築学に関する学科
石工事業 土木工学又は建築学に関する学科
屋根工事業 土木工学又は建築学に関する学科
電気工事業 電気工学又は電気通信工学に関する学科
管工事業 土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
タイル・れんが・ブロック工事業 土木工学又は建築学に関する学科
鋼構造物工事業 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
鉄筋工事業 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
舗装工事業 土木工学、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
しゅんせつ工事業 土木工学又は機械工学に関する学科
板金工事業 建築学又は機械工学に関する学科
ガラス工事業 建築学又は都市工学に関する学科
塗装工事業 土木工学又は建築学に関する学科
防水工事業 土木工学又は建築学に関する学科
内装仕上工事業 建築学又は都市工学に関する学科
機械器具設置工事業 建築学、機械工学又は電気工学に関す学科
熱絶縁工事業 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
電気通信工事業 電気工学又は電気通信工学に関する学科
造園工事業 土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科
さく井工事業 土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科
建具工事業 建築学又は機械工学に関する学科
水道施設工事業 土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
消防施設工事業 建築学、機械工学又は電気工学に関す学科
解体工事業 土木工学又は建築学に関する学科

以上が学科の表です。
清掃施設工事に関しては、対象の学科はないみたいです。

 

資格を持っている人もいないし、実務経験が10年間ある人がいないという場合は、学歴も確認してみるといいと思います。
対象の学科を卒業していたら、実務経験の年数が足りるかもしれません。

 

どうしても条件を満たす人がいない場合

これでも専任技術者がいないという場合は、やはり資格を持った方を雇うしかないと思います。

 

または、実務経験の10年間の要件を満たすまで待つということになります。そのためには、しっかりと請求書や通帳を保管しておく必要があります。

 

しかし、このホームページを見ているということは、おそらくすぐにでも建設業許可を取りたい、というような方だと思います。そんな方が10年を待つというのは現実的ではないかもしれません。

 

そうなれば、残る道は、新たに資格を取得するということになると思います。資格によって難易度は様々だと思いますが、いずれは必要になってくるものです。

 

資格を持つ方を雇ったとしても、退職のリスクがあります。もし専任技術者が退職してしまったら、もうその時点で建設業許可は廃止となってしまいます。

 

ですので、できれば社長さんが資格があることが望ましいと思います。

 

日々の業務でお忙しいとは思いますが、ご自身の会社のためですので、なんとか資格取得を目指していただけたらと思います。